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【名前】 面影堂 【読み方】 おもかげどう 【登場作品】 仮面ライダーウィザード 【分類】 場所 【詳細】 輪島繁が店主を務める骨董品店。 操真晴人たちの居候先でもある。
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目の前に、果てしなく険しい道が広がっている。 聖杯戦争における現状を表した比喩ではなく、物理的な問題としてプロスペラ・マーキュリーの前にこの問題は立ちはだかった。 それは、工事により掘り起こされた砂利道であり、通り雨によって濡れたアスファルトの大地であった。 健全な人間であれば歩きづらい程度で済むその道に対し、彼女は左腕に握った杖を強く地面に付けた。 GUND、この聖杯戦争における時代設定においては「未来の人工義肢」と言える技術によって彼女の右腕は作られていた。 右腕だけであれば歩行に支障はないが、その先鋭的過ぎる技術の更に悪用と言える兵器運用の無理などが祟り彼女の体はハンドメイドの特殊なヘルメットのサポートが無ければ歩行することも難しい状態となっていた。 そのヘルメットも彼女の世界に彼女の身分で使用するのであれば、まだ普段使い可能だがこの時代に普段使いするのは無理がある。 そのため無理を押して杖を突いて歩いてはいるが、前途多難である。 ロールとしての資産や社会的地位も十分にある、しかしそんなものは一歩歩くのにもおぼつかないこの体を補えるものではない。 数十年前から身に染みていた世界の無常さを思い出しながら一歩を進めた時、雨に濡れた地面に杖を取られてしまう。 危うく転びかけたその時、小さな温もりがその体を支えた。 「助かったわ、キャスター」 プロスペラは己を支える純白の少女に感謝の声を掛けた。 少女が何も言わず、プロスペラを支えながら歩くたびその純白の長髪が揺れる。 夜道の闇の中においても、純白のワンピースに純白の肌が映える彼女はプロスペラのサーヴァント、キャスターだった。 その時、彼女らの前にキャスターの使い魔たる馬車を伴った黒衣の剣士が現れる。 『乗るか?』 「要らないわ、早くしまって。」 彼女の馬車は自動車のように早ければ、悪路もかまわず道を駆け抜けれられるがいささか目立ち過ぎた。 当然、現代の世界に馬車があるというだけで目立つのは当然であるが、彼女の馬車の問題はそれどころではない。 目の前の馬を見る。 これを馬である。と言われてもそう見えない人間は多いだろう。 赤と銀色に錆びついた後方の荷車と同じ色に染まり、髪が顔を覆い隠しているそれを見て馬という生物だと認識できる人間はいないだろう。 これが彼女の使い魔の一端。 果ての国に降った死の雨により変貌した「穢者(けもの)」と呼ばれる生きる屍。 それを自由に使役することが純白の少女の基本戦法であった。 「それより、準備は大丈夫なの?」 『こちらの仕込みは問題ない。 いつ仕掛けるかはお前に任せる。』 「……そう。」 排水溝から巨大な芋虫がこちらを見上げ、電線に留まる赤い目の不気味なカラスが鳴いた。 彼女に浄化され、使役される「穢者(けもの)」の汚れ。 彼女が引き受けたそれは、もはや果ての国そのものと言っても過言ではない軍勢であった。 彼女の軍勢があれば、この聖杯戦争に勝つことは不可能ではないだろう。 (蝋燭みたいで、綺麗だね!) (やめなさーい!) そう考えた時、彼女の脳裏に娘が人殺しに手を染めた瞬間が脳裏に過った。 目を瞑りその雑念を頭から追い払う。 復讐を決めた時から、他人の犠牲など気に留めないようになったはずだ。 なぜ今になって躊躇いなど湧いたのだろう。 目を開くと、青い瞳がこちらを見上げていた。 彼女の娘、スレッタ・マーキュリーの目だ。 「スレッタ…?」 「?」 目の前の少女はきょとんとした顔をした。 目の前の少女が首を傾げると、その純白の長髪が揺れた。 彼女のサーヴァント、キャスターは不思議そうな目でその青い両目をプロスペラに向けると、プロスペラはハッと気を取り戻した。 『どうかしたのか?』 「…ここから先は一人で十分よ。ありがとう。」 黒衣の剣士の問いに答えず、プロスペラは杖を突きながらも足早にその場を立ち去った。 どうしたことなのか。あの日、復讐を志した時から彼女は心を鬼とすることに決めたはずだ。 エリクトのため復讐の為幾人もの人間を巻き添えにしながら進み、彼女の娘であるスレッタも必要とあらば巻き込むつもりだった。それなのに、なぜスレッタの面影を己のサーヴァントに見出してしまったのか。 帰り道を急ぎながら、彼女の頭はそんな自問に埋め尽くされていた。 黒衣の剣士は、急ぎ足で帰るマスターの後姿を見送りながら白い少女へと尋ねた。 「これから私たちは彼女のために殺し合う事になるが、それでいいんだな?」 彼らに願いはない。 彼らの過去には耐えがたい痛みがあった。目を焦がす惨劇があった。拭い切れない涙があった。 だがしかし、その上に自分たちが立っている認識があり、その世界を駆け抜けた掛け替えない二人の旅から引くものも足すものもない。 彼らにとって戦う理由とはマスターが全てだった。 黒衣の剣士にとってはそれに不満は無いが、純真な白い少女を巻き込む事だけが一つの躊躇いだった。 「……」 白い少女は何も言わずに黒衣の剣士を見上げた。 彼女には言葉が無い。 「そうか。」 たがそれでも、彼と彼女の間には言葉が無くとも意思が伝わった。 その意志を受け取った黒衣の剣士はゆっくり頷いた。 「そうだな。お前の母も、自分の娘達のために足?いていたな。」 果ての国と呼ばれる地。 穢土の領域から湧き出る穢者に対抗できる白巫女の一族。 その中で子を為す前に激しく衰弱した白巫女に対して国は一つの案を出した。 彼女のクローンとなる子どもたち(リプリチャイルド)を作り出し、それに白巫女の穢れを受け付けさせる計画。 全てが順調に行ったその計画は、最後の最後で頓挫することとなった。 その白巫女が、リプリチャイルドに穢れを引き渡すことを拒絶したのだ。 その選択は、結果として全てを悪い方向に向かわせてしまったけれども。 彼女は、そして全てのリプリチャイルドにはその選択がなにものにも代えがたい“母親”の抱擁であった。 故に少女は、己の娘のために戦うマスターのために戦う事を躊躇わない。 その決意の固い瞳を目にした黒衣の剣士は、静かに頷いた。 もはや、彼にも躊躇いはない。 宵闇の中、黒の剣士と白の少女は決意を新たに、二人で手を取り合いこの町を戦場へ還る一歩を踏み出した。 【クラス】 キャスター 【真名】 リリィ@ENDER LILIES 【パラメーター】 筋力E 耐久D 敏捷C 魔力A+ 幸運B 宝具A 【属性】 秩序・善 【クラススキル】 陣地作成:A 魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。 キャスターは穢れの王の力により、地下に禁じられた領域と呼ばれる陣地を形成可能。 道具作成:D キャスターはレリックと呼ばれる魔術的な道具を作成可能、 【固有スキル】 使い魔:A++ かつて浄化した穢者を使役する能力。 キャスターの中に収められたその穢者はもはや果ての国そのものと言える。 白き巫女:A 穢土より来たる穢者を浄化する巫女。 狂化を持つサーヴァントに対して特攻。 パリィ:C 広く名の知られたアクティブガード。 このスキルを持つキャスターを正面の一撃で破壊することは難しい。 【宝具】 輝く護りの宝具(ENDER LILIES) ランクB+++ 種別:対穢宝具 レンジ:10 最大補足:9 代々白巫女に伝わる浄化の負担を抑える宝具。 この宝具そのもの・またその中に宿る白巫女の願いの力によりリリィは穢れの負担を抑えて行動することが可能。 逆に言えば、この宝具が無くなればリリィの中の穢れの枷は無くなり、穢れの王と呼ばれる存在になり果てることが可能。 古き魂の残滓(Quietus of the Knight) ランクC- 種別:対穢宝具 レンジ:10 最大補足:1 かつて不死の騎士だったもの。 かつて彼は巫女が死ぬまで不死の剣士として守護する契約を結んでいたが、 今回リリィは英霊として召喚されているため当然その効力は消失している。 そのため今の彼は精々不死に近いような頑丈さを持った剣士に過ぎない。 だが、少女にとっては契約から解き放たれた後も召喚に応じてくれた彼との絆にマサル宝具はない。 穢れの王(Mother) ランクA- 種別:対国宝具 レンジ:100 最大補足:10000 リリィの中に眠る泉の白巫女、また膨大な穢れをその身に引き受けたリリィそのもの。 無数の穢者を生み出し、双子城砦防衛戦で一軍と泉の白巫女相手に死闘を繰り広げたその戦闘能力も脅威ではあるが、その能力で最も恐ろしいものは己の穢れを雨へと変え、一夜にして果ての国を滅ぼした「死の雨」である。 現在輝く護りの宝具により抑えられてはいるが、リリィは彼女の力により本編以上に穢者を自在に使役可能。 【wepon】 穢者と黒い騎士を使役して戦闘を行う。 【サーヴァントとしての願い】 マスターに聖杯を捧げる。 ? 【マスター】 プロスペラ・マーキュリー@機動戦士ガンダム 水星の魔女 【マスターとしての願い】 クワイエット・ゼロの完遂
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面影 ◆w2G/OW/em6 時は真夜中、草木も眠る丑三つ時。場所はE-3、土の下には屍が眠る墓地。 「ったく……一体何がどうなってんだこりゃ?」 湿った土に腰を下ろし、手近な墓石に背中を預けながらメレオロンは呟いた。 数分前には、確かに自分はこんな場所にはいなかったはずだ。 キメラアントの王の討伐、その為にゴン達人間のハンターに協力し、いざ宮殿への突入が間近になった矢先…… 気がつけばあの場所で、多種多様な動物に囲まれ、キュウビと名乗る巨大な狐に「殺し合いをしてもらう」だのと告げられ。 周りの環境の変化に、まったく理解が追い付いていない。 (あの化け狐もキメラアントか……?いや、どう見ても同族にゃあ見えなかったな。 それに第一、殺し合いをさせる理由がわかんねぇ。 反逆者への処罰なら、こんなまどろっこしいことせずに殺しゃあ済む話だ……じゃあ何の為に?) どうにもまとまらない思考を巡らせながら、支給されたデイパックの中身を確認する。 最初は名簿。中を開けば、そこには知った名が一つ。 「イカルゴもいるのか……」 自分と同族である、タコに似た外見を持つキメラアント。 付き合いは短いが、共に王の討伐に参加している仲間。 間違いなく信用できる相手だ……まずはこいつとの合流を目指すべきか。 次は地図。あたりを見るに、自分の居場所はE-3、そこに記された墓地。 続いて取り出したのは…… 「剣、か?」 出てきたのはひと振りの剣。幅広な三角形の刃を持ち、武器としては申し分なさそうな品だ。 アタリと思われる品に気を良くし、他にも何かないかと中を探す。 「……何だこりゃ、菓子?」 箱に入ったスナック菓子らしきものが数箱、箱にはデカデカと『チョコビ』と書かれている。商品名だろうか? ……どう見てもハズレだ。 まぁ、世の中そんなに上手くはいかないということか? 気を取り直して、今後の行動を考えようとし…… ―――ペタ、ペタ、ペタ…… 小さく、足音らしき物音が聞こえた。 (他の、参加させられた奴か?) さて、どうするべきか。 あの場所には明らかに危険そうな大型の動物も混じっていた。 足音の大きさから察するに自分よりも小型の動物だと思われるが……用心に越したことはない。 キメラアントとして自分に備わる能力を発動―――自らの体を透明化する。 (さて、どんな奴か……って、何だありゃあ?) 墓石からそっと顔を覗かせ……メレオロンは驚きと呆れが入り混じった表情(もっとも透明なので誰にも見られる事はないが)を浮かべる。 トボトボとデイパックを引きずり歩いていたのは、丸っこい体つきをした小さな……。 (……ペンギン?) ◇ (怖いよ) まん丸は怯えていた。 ほんの数分前に目の前で起こった、あの惨劇。 軽い音をたてて吹き飛ぶ仔リスの首、吹き出る鮮血、崩れ落ちる体。 それは、正に悪夢の様な光景だった。 (やだよ、こんなの……帰りたいよ……) だが、どうすれば帰れるのだろう? 最後まで生き残った者には、何でも願いを叶えてやる……キュウビと名乗ったあの狐はそう言っていた。 生き残れば……帰れるのだろうか、念雅山に。 (でも……タヌ太郎さんと、ツネ次郎さんは?) 配られた名簿には、まん丸の兄弟子である二匹の名前も載っていた。 帰りたい……でも、大切な兄弟子である二匹が死ぬのは……絶対に嫌だ。 じゃあ、どうすれば帰れるのだろう? (タヌ太郎さん、ツネ次郎さん、どこにいるの……?怖いよ、会いたいよ、じいやさん……) 「……う、ぐすっ………」 圧し掛かる恐怖に震えながら、小さく嗚咽を漏らした時だった。 「あー……ちょっといいか?」 ふいに、後ろから声がかかる。 ビクリと体を震わせ振り向くと、そこに立っていたのは (カメレオン、さん?) 2本足で立つ爬虫類によく似た姿がそこにあった。 自分と同じようなカバンを持ち、その手にあるのは…… 「……あ」 剣だ。幅広の剣が、目の前のカメレオンの手に握られている。 そうだ、ここで殺し合いをしてもらうと言われたのだ。 即ちこのカメレオンの目的は…… 「ちょっと話を聞きたいんだが―――」 「う、あ……うわああああああああ!!!」 相手が何か言うのとほぼ同時、まん丸は走り出していた。 「な、ちょ、待っ―――」 何か後ろから聞こえるが、そんな事気にしている余裕はない。 頭が真っ白になる中、浮かぶ考えは1つ。 逃げないと。とにかく逃げないと。 止まったら、止まったらきっと殺される……! そんな恐怖に満ちた思考では、まともに体が動くはずもなく。 「―――あっ!」 小石につまづき、墓地の石畳に倒れてしまう。 後ろから、近づいてくる足音が聞こえる。 体を起こして振り向けば、月夜を背に迫る影は、すぐそこに。 (い、やだ……いやだ、いやだ、いやだいやだいやだ!) 死にたくない、まだ死にたくない。 逃げなきゃ、逃げなきゃいけないのに……体が動かない! 「やだ……ボク……死にたくな……!」 目をつぶり、恐怖から逃げるように叫ぶ。 怖い、怖い、怖い怖い怖い怖い怖い怖い………!!! 「菓子、食べるか?」 ―――上から降って来たのは、そんな言葉。 顔をあげると、カメレオンによく似た男が目の前に立っていて。 その手は、お菓子の箱らしき物をこちらに差し出していて。 「まぁ……何だ、その、驚かせてすまんかっ―――」 『お菓子を食べぬか』 何故かその姿に、全然似ていないはずの別の存在に重なって。 自分たちの忍術の師の姿を思い出させて。 「う……うわああああああああん!!!」 気づけばまた泣いていた。 今度は死への恐怖ではなく、いい人に出会えたという安堵から。 ◇ (……何やってんだ?俺。) メレオロンは自分の行動を反復し、まずはそう思う。 話しかける前に剣をデイパックにしまっておかなかったのは自分の落ち度だが、その後なんでこのペンギンを追いかけたのだろう。 座り込んで、泣きながら菓子をほおばっているこのペンギン。見た感じでは本当にただのペンギンである。 ただのペンギンが喋るかという事はこのさい置いておくとして…… どう考えても、今後の行動の足手まといになる存在。 (放って置けなかったのは……やっぱ、『似てる』からだろうなぁ……) 目の前のペンギンに重なる、別の存在。 彼の里親……正確には、彼の『元になった』人間の里親が『元になった』存在。 ペギー……キメラアントの王に殺された、元里親。 (共通点、ペンギンしかねえじゃねぇかよ……) 自嘲気味に小さく笑う……あまり悪い気はしなかったが。 「あ、あの……さっきはごめんなさい……逃げたりして」 いつの間にか菓子を食べ終えたらしい。ペンギンがおずおずと声をかけてきた。 「……別にかまわねえよ、剣なんて出しっぱなしにしてた俺も悪いんだし。」 「は、はい……えっと……」 何か言葉に詰まったように、何か聞きたそうにオドオドしだす。 ……ま、しかたねぇか、声かけたの俺だしな。 「メレオロンだ……で、お前は?」 「あ……ハイ!ボクまん丸って言います―――」 少しの間ぐらいは……面倒見てやるか。 【E-3/墓地/1日目/深夜】 【メレオロン@HUNTER×HUNTER】 【状態】健康 【装備】:ヴァルセーレの剣@金色のガッシュ 【道具】:支給品一式、チョコビ(残り4箱)@クレヨンしんちゃん 【思考】 基本:殺し合いからの脱出、元の世界への帰還 0:まん丸と情報交換、しばらくはまん丸の面倒を見る 1:イカルゴとの合流 2:誰かに襲われた場合は、容赦なく対処 ※原作25巻、宮殿突入直前からの参戦です。 【まん丸@忍ペンまん丸】 【状態】健康、恐怖と不安(少し落ち着きました) 【装備】:なし 【道具】:支給品一式、不明支給品×1~3、チョコビの空き箱 【思考】 基本:念雅山に帰りたい、殺し合いには乗らない 0:メレオロンと話す 1:タヌ太郎、ツネ次郎に会いたい ※原作終了後からの参戦です。 【ヴァルセーレの剣@金色のガッシュ】 魔物の子の一人、アースの使う剣。 触れた魔物の魔力や体力を奪い、蓄える能力がある。 【チョコビ@クレヨンしんちゃん】 野原しんのすけの大好きなお菓子。チョコレート味のスナック。 最初の支給数は5箱。 時系列順で読む Back 宇宙を越えた執着心 Next 悲しいことや辛いことが終わるために… 投下順で読む Back 宇宙を越えた執着心 Next 悲しいことや辛いことが終わるために… GAME START まん丸 031 狼×お子様×サッカー場 GAME START メレオロン 031 狼×お子様×サッカー場
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面影之井戸 おもかげのいど 面影寺にあったとされる井戸。からくり井戸になっており、暗い夜にわずかな光を反射して内部に取り込み、面影石を通して幻を投影する。年中霧が発生する霧生ヶ谷の特性をうまく使ったからくり井戸。中を覗けば壁面に鏡がびっしりと貼り付けられている。この鏡は現在のようなガラス製の鏡ではなく、金属の板を磨きこんだものである。 霧生ヶ谷市立南高校
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父の面影 [部分編集] 宇宙を駆逐する光 COMMAND C-G22 茶 1-1-0 C (常時):自軍ユニット1枚は、ターン終了時まで、ジャンクヤードにあるキャラクター1枚の戦闘修正と、同じ値の戦闘修正を得る。 強化 ジャンクヤードにあるキャラクターの戦闘修正分パンプアップするコマンド。 ジャンクヤードにあれば、自軍敵軍、コストも問わないので、例えばアムロ・レイ《7th》やマスター・アジアといった、戦闘修正の高いキャラクターを指定することができればそれなりのパンプアップになる。 またMFデッキには基本的にキャラクターが複数枚投入されているので、このカードが使える機会も多いと言える。 とはいえ効果的に使うには状況を整える必要があり、汎用性の低さからあまり使われることはない。
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711 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/09/23(日) 11 32 20.78 ID ??? シン「ただいま…ってスウェンさん。また姉さんの配達?」 スウェン「シンか。まあいつものことだからな」 ジュドー「しかしスウェンの兄さんもよく姉ちゃんとやっていけてるよなぁ~」 ウッソ「大抵の人は1日で逃げ出しますからね」 スウェン「…似た人を知っているからな…」 本編でもスウェンの母ちゃんはセレーネにクリソツ 15 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/09/23(日) 21 42 58.56 ID ??? セレーネに素直に従ったのって母の面影を見たからなんじゃ グレミー「そうか、君も同志なんだな。」 シャア「恥ずかしがることは無い。むしろ誇りに思いたまえ。」 グレミー「さぁ、マザコン同盟に加入しなさい。」 スウェン「・・・お断りする。」 716 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/09/23(日) 22 04 17.54 ID ??? 713 一方、セレーネの子供時代 父ちゃん「セレーネよ、あれが巨人の星だ」 セレーネ(小学生)「わかった父ちゃん。私巨人の星を目指すよ!」 アムロ(小学生)「ねえ、なんか展開違ってない?何で二人で盛り上がってるの!?」
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過去の面影 [#x6c25249] 「ハンター」 それは、対魔獣戦闘を行えるほどの実力を持つ、 一部のヒトにだけ与えられる特別な称号である。   ――マウォルス皇国北部、旧ラダンハイム地区 「・・・・・・今回はここか?」 「うむ、どうやらこの周辺のようだなぁ」 かつて一つの街であったその場所に、黒い法衣に身を包んだ大男と、全てが漆黒のヒトが立っていた。 「・・・出現、したのは?」 「報告によればシツライが1頭のようだな。ここまで近づかれると、増える前に何とかせんといかんからなぁ。ハッハッハ」 魔獣が現れたのは何時からだったか。 戦争中もお構いなく、その猛威は振るわれ、被害を広げていた。 それを止めるため、大陸規模で通用する、「ハンター」が作られた。 「・・・・・・・・・」 「・・・どうした。」 「んん? ああ、何。少しばかり昔を、な」 「・・・・・・お前が物思いするのは、珍しいな・・・」 「ハッハッハ、相変わらず辛辣だなぁ!」 「・・・・・・事実だ・・・お前らしくない」 「ハッハッハ・・・まあ、偶にはそういう時もあるもんだ・・・」 三十年ほど前。 この地は非常に大きな、皇国二番目の規模の都市だった。 高い建物が並び、商業で発達していた街は―― 「・・・・・・・・・血の一週間、か・・・」 「・・・うむ。」 ――たった一週間のうちに、食いつぶされてしまっていた。 ウルカヌスとの戦争。 魔獣の襲撃。 示し合わせたかのように発生したそれは 大切なものを悉く奪っていった。 「あの一週間で、戦友を失い・・・大切な人たちを失った。まあ、戦争では仕方ないのだがな。」 「・・・・・・魔獣・・・」 「ああ。私達が戦っているときと同時にきたからなぁ。いや、あやつらも上手いものだな、ハッハッハ!」 「・・・・・・・・・」 「ハハハ・・・消えていった彼らの分、私はしっかりせねばならんからなぁ。」 「・・・・・・いいのか?」 「・・・まあ、未練がないといえば嘘にはなるが・・・既に過去さ、どうにもならんよ。」 まぶたを閉じれば、蘇る街並み。 耳を澄ませば今でも、聞こえる喧騒。 遠い過去の思い出に、心中で十字を切る。 「さぁて、物思いはこれくらいにして、仕事といこうかな!」 「・・・・・・ああ・・・」 響く咆哮。 復讐や仇討ちではない。 ただ、護るために、今は力を振るう。 二度と繰り返さぬために。
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12 面影 前へ 戻る 次へ 初めての感覚だったな……達成感……っていうのかな? 暗黒神を倒して、トロデーン城が復活した時に見上げた空は ……今までに見たことが無いぐらい綺麗だった。 この世の全ての汚れたものが、一掃された感じで……何とも言えなかったよ。 トロデ王もミーティア姫様も、城の人たちもみんな元の姿に戻ってさ、本当に嬉しそうだったんだ。 オレとしたことが、ちょっとウルッと来たもんな。 みんなの喜ぶ顔見てたらさ、こんなオレが、みんなの役に少しでも立てた……って思えたからね。 トロデ王はその日のうちに、祝いの宴を開いてくれたんだ。 城の人たちは、呪いがかかっていた間の分まで楽しもうとしているのか、バカみたいにはしゃいでたよ。 そうそう、城のメイドの中には結構可愛い娘もいてさ……オレとしては口説かずにはいれなかったね。 これは……オレの悪いクセだよなぁ。 オレがメイドのエイミちゃんって娘を城の影で口説いてたら、 後ろでガキどもが「危ない!」とか「お姉ちゃん、何やってんの?」とか叫んでるんだよ。 人が真剣に口説いてるときにうるせぇな、と思って振り返ってみたら…… ゼシカがものすごい顔してこっち見てたんだけど……。 オレに向かってメラ……じゃねぇよ、あれは!メラミかイオラぐらいの勢いだったぞ! それをオレに向かって投げようとしてたんだよ! ……オレのあせった顔を見て、とりあえず引っ込めてはくれたけどな……。 ゼシカはいつもそういうことをした後、大体拗ねたような顔をして、 それがまたどーしようもなく可愛かったりするんだけど…… その時はどういう訳か、酷く落ち込んだような顔をしていたんだ。 その日の宴がとりあえず終わり、オレとゼシカとヤンガスは飲み足りなくって、 トロデーン城の客室を借りて、三人で飲み続けていたんだ。 「解らねぇでがす……!」 グラスに注いだワインをグイっと飲み干したヤンガスが、突然声を上げた。 あんまり突然だったんで、びっくりしたオレとゼシカは思わずヤンガスの顔を見た。 いつもの面白い顔が、酔ったせいで更に面白い顔になってたな。 「なんでトロデのおっさんや馬姫様に、兄貴は自分の正体を言わないんでがすか? このまんまだと兄貴はずっと城の兵隊で一生を終えちまうんでがすよ!」 何のことかと思ったら……暗黒神を倒す前にたまたま行き着くことが出来た、 エイトの故郷である竜神の里でのことだった。 そこでエイトが何者であるかが解ったんだけど、エイトの爺さんの家で一泊した時に、 エイトが妙に真剣な顔をしてオレたちに言ったんだ。 「みんな……お願いがあるんだ。さっき聞いた僕の秘密やトーポ…… ぼくのお爺さんのことをさ……陛下や姫様には内緒にしておいてくれないかなぁ……」 オレはびっくりしたね。だって、エイトがサザンビーク王家の正統な血を継いでるってことが解ったんだぜ? そうしたら愛しのミーティア姫様とだって結婚できるじゃねーか! 「ど……どうしてでがすか?」 ヤンガスは驚きを思わず声に出してしまっていた。 オレも何か言いたい気分だったんだけど、ゼシカだけは妙に冷静で……必死にエイトを問い詰めようとしていた ヤンガスを「今はエイトの言う通りにしましょ」と言って、宥めていたんだ――。 エイトの考えは、確かにいまいち腑に落ちない。 オレも酔った勢いで、ヤンガスの言葉に乗った。 「そうだな……サザンビークの王家の血を継いでるとなると、エイトがあの国の王様になる 可能性だってあるわけだし、ミーティア姫様の結婚相手にもなれるわけだからな……」 すると、俺の向かいに座っているゼシカが突然口を開いた。 「私……何となく解るわ、エイトの気持ち……」 「ど、どういうことでがすかっ!!」 ゼシカの言葉を聞いて、ヤンガスはオレの隣の椅子から興奮したように立ち上がり、 ゼシカに向かって体を乗り出した。 ゼシカはゆっくりグラスのワインを口にして、グラスを静かにテーブルに置いた。 「多分……ミーティア姫様のこと考えてるのよ。エイトはね、自分のことよりも…… まず姫様のことを第一に考えてるんだと……思う。 だって今ここでエイトがサザンビークの王位継承者だって言ったら、サザンビーク国内だって混乱するだろうし、 そうなったら姫様のせっかくの良縁も台無しになりかねないし……」 そこまで言うと、ゼシカは軽く目を伏せた。 「エイトは……ほんとに姫様のことが好きなのよ……」 オレはゼシカがあんまり深刻な顔をしてるんで、思わず軽口を叩きたくなったんだ。 これもオレの悪いクセだよなぁ。 「へぇ……男心をよく解ってんな、ゼシカ。そろそろオレのお前に対する 優しさにも気づいて欲しいもんだけどなぁ?」 ゼシカは表情を変えず、オレを見据えて言った。 「あんたは……全ての女の人に優しいだけでしょ」 「まだ根に持ってんのかよ?今日のこと――」 「違うわよ!」 オレたちの言い合いが長引きそうなのを見越して、ヤンガスは大声で叫んだ。 「あーー!!!もういいでがすよ!時間も遅いし、今日のところはもう寝るでがす!」 オレたちはそれぞれに割り当てられた部屋へ入り、オレは自分の部屋のベッドに横になった。 そしてグローブを外した左手をじっと見ていた。 ――そういやぁ最近、全然ゼシカに触れていないような気がする。 暗黒神の戦いや竜神の里でのことやらでバタバタしてたのは解るけど……避けられてんのかな? ドニの町に寄って以来、どうもゼシカのオレに対する態度がおかしいような気がしてならないんだ。 セイラのやつ……ゼシカに何かいらないことでも吹き込みやがったのかもな……。 オレは……ゼシカを特別な存在だとずっと思ってきたんだけどな……。 それがゼシカに上手く伝わっているかどうかは別だけど、さ。 ――ああ、バカみたいだ。考える暇あったら、さっさと口説いちまって、 ベッドに連れ込んだ方が早いのにさ……何やってんだよ、オレ。 ◇ 結局、トロデーン城では一週間ぐらい過ごさせてもらったのかな……。 もうそろそろ城を出発しなきゃ……とみんな思ってた時だった。 突然トロデ王からお呼びがかかり、接見の間に呼ばれたんだ。 堅っ苦しい態度の近衛兵に付き添われ、オレとゼシカとヤンガスの三人は玉座の前に並んで立たされた。 玉座にはトロデ王とミーティア姫様が並んで座り、玉座から少し離れたところに エイトがいかにも近衛兵らしく、背筋をピンと伸ばして立っていた。 「さて……長い旅路、まことにご苦労であったな! で、そなたたちはこれからどうするつもりじゃ?言うてみい!」 トロデ王の問いに最初に答えたのは、ヤンガスだった。 「アッシは……とりあえずゲルダに鉄球を返しに行く必要があるんで、 ゲルダんとこへ行こうと思ってるんでがすが……」 「そういえば……ヤンガスの故郷ってどこなの?」 エイトがそう聞くと、ヤンガスは突然胸を張って答えた。 「そりゃ、アッシにだって故郷があるでがすが……そんなモン、今はもう必要ないでがすよ! 兄貴の近くがアッシの心の故郷でがすからね!」 「ヤンガス……なんかそれ、かっこいいな……」 オレが思わずそう口にすると、トロデ王の隣にいたミーティア姫様がぷっと吹き出した。 「ヤンガスさんは……本当にエイトのことを慕ってらっしゃるのね。 エイトの故郷はこのトロデーン城ですもの、ヤンガスさんもここを故郷だと思って頂いてもいいのですよ」 気高く微笑む姫様にそう言われたヤンガスは、ちょっと複雑そうな顔をして笑っていた。 「ゼシカ、お前はどうするつもりじゃ?」 トロデ王が話をゼシカに向けると、ゼシカはチラッと隣にいるオレを見て、 その後少し俯いたまま、何か考えているようだった。 「私は……とりあえず家に帰ります。やっぱり母さんが心配だから……」 ゼシカがゆっくりと出した答えに、トロデ王は目を細めた。 「おお!それがよいぞ!親というものはな、自分のことよりも子供のことが心配なもんじゃからのぉ。 母上を十分労わってやるのじゃぞ!」 トロデ王はうんうんと頷きながら、微笑んでいる。 「――さて、ところでククール、お前に話があるんじゃがの……」 トロデ王は笑顔を引っ込め、オレを神妙な顔つきで見た。 「昨日だったかの……情報が入ってな。ベルガラックの教会でな、新しい神父を探しているそうじゃ。 何でも年老いた神父と若いシスターだけでやってきたそうじゃが、神父がだいぶ体力がなくなってしもうて、 シスターの負担が大きくなってしまっているそうじゃ。 それで新しい神父を迎えたい、と思ってるらしいんじゃが……。 お前は生臭ではあるが一応聖職者として資格を持っておるからの。……どうじゃ、行ってみんか?」 オレは思わずゼシカを見た。ゼシカは無表情のまま、じっと前を見ている。 オレはふうっと息を大きく吐き出し、トロデ王の方へ顔を向けた。 「……そうだな。特に帰る場所も決めてなかったから、行ってみるとするか。 ベルガラックはカジノもあるし、可愛い娘もいっぱいいるから……オレ向きだな」 オレの言葉を聞き、みんながクスクス笑い始めた。 「まったく相変わらずじゃの……。まぁ、ええわい。ほら、ワシの親書を持っていくがええぞ。 その中にお前の推薦状も入っておるから、教会の者に渡せばよい」 オレがトロデ王の元まで親書を取りに行くと、トロデ王はぽつりと呟いた。 「人は……誰にでも等しく幸せになる権利があるんじゃ。早よぉ自分の幸せを、自分の手で見つけるんじゃぞ」 オレはトロデ王の言葉に、思わず肩をすくめた。 ◇ 「ずっとみんなと一緒にいたから……寂しくなるな」 城の門の前までオレたち三人を見送りに来たエイトが、ポツリと呟いた。 夕焼けですっかり赤くなった空と一緒に、オレたちの姿も赤く染まっている。 「なーに言ってるんでがすか、兄貴!会いたいと思えば、いつでも会えるでがすよ!」 ヤンガスがまるで自分に言い聞かせるかのようにそう言うと、ゼシカも微笑んで答えた。 「何かあったら……また呼んでね。きっと私たちじゃなきゃ出来ないことって、あるような気がするから」 オレもため息を一つついて、言った。 「そうだな……仲間……だもんな」 「そうよ」 ゼシカはニコっと笑って言った。 ヤンガスもオレの言葉に照れたように頭を掻いてニヤニヤしている。 「じゃあ、元気でな」 「またね!」 「兄貴、アッシのことを忘れないでほしいでがすよ!」 エイトに思い思いの別れの言葉を継げると、オレは二人を連れて移動呪文を唱えた。 ヤンガスをゲルダの家の近くまで送り、その次にゼシカの故郷のリーザス村に着いた。 空はすっかり日が落ちて、夜になりかけていた。 村の入り口に掲げられた松明だけが、煌々と辺りを照らしている。 「このまま……ベルガラックへ行くの?」 リーザス村の入り口に着くなり、ゼシカはそう言った。 ゼシカはオレに向かって、悲しそうな顔をしている。 だからオレはなるべく、ゼシカに微笑みかけようとしていたんだ。……ゼシカも笑ってくれるように。 「今日はもう遅いからな。ドニの町に今日は行っとくよ。明日だな、ベルガラックへ行くのは」 「……そう」 ゼシカは何か言いたげな表情をして、目を伏せがちにしていた。 手持ち無沙汰なのか、スカートの生地を何回も手で撫でている。 「そうだ。これを渡しとくよ」 オレは右手のグローブを取り、嵌めていた指輪を外してゼシカの顔の前に差し出した。 「今度はちゃんと受け取ってくれるよな?」 「……いらないわ」 ゼシカは、顔を俯かせて答えた。オレはきょとんとして、思わず「……え?」と 素っ頓狂な高い声を上げてしまったんだ。 するとゼシカは、一言一言噛み締めるように、ゆっくりと言った。 「指輪……とか、物は……そういうのは……いらない」 「じゃあ、何がいいんだよ」 ゼシカは俯いたまま、言いたい言葉を口に出そうとしては、止める、というのを繰り返していた。 オレが指輪とグローブを嵌め直していると、ゼシカはやっと口を開いた。 「…………して」 うっすらと囁くゼシカの声は、夜の闇に消えそうなくらいだった。 「何?」 オレが聞き返すと、ゼシカはオレの顔を見て、覚悟を決めるように息を呑んだ。 「……キス……して」 そう言ったゼシカの顔は、少し赤くなっていた。 「……お安い御用さ」 オレはグローブを取り、ゼシカの顎を優しく掴んで持ち上げ、唇を合わせようとした。 するとゼシカは、いきなりオレの胸を両手で思いっきり力任せにドンと押した。 オレは思わずよろめき、危うく転びそうななった。 「……ったく何だよ!!何だよ自分からしてくれって言っといて!」 オレが腹立ち紛れに怒鳴ると、ゼシカはオレを怒ったような目つきで言った。 「『してくれ』って言ったら、そうやってみんなにするんでしょ!! ドニの町のミラや、ベルガラックの踊り子や、トロデーンのメイドにだって! ……私は……そういうんじゃなく……」 ゼシカの瞳は涙が溢れていた。ゼシカはくるっと体を翻し、オレに背を向けた。 「……送ってくれてありがと!!もう……いいわ!」 その声は、涙で枯れていた。 オレはゼシカの後ろから、両肩に手を置いた。 「……ゼシカ」 話しかけても返事は無かった。細い肩が、涙を堪えているかのように、小刻みに震えている。 オレは一旦ゼシカの肩から手を離し、ゼシカを後ろからぎゅっと抱きしめた。 ゼシカの呼吸のリズムに合わせて、抱きしめているオレの腕がゆっくりと動く。 ゼシカの体の温かさと、夜風で冷えた服の冷たさが交じり合って、オレの体に伝わってきた。 オレは目を閉じ、そっと、ゼシカの首筋に唇をつけた。 ゼシカの体が、不意にビクッと震える。 こんなことしたらまた怒られるんだろうな、と思った。 それでも構わなかった。 ゼシカの面影を、オレの体に残したかった。 そして――オレが傍にいた証も、ゼシカの体に残るように……。 ゼシカの項から流れている後れ毛の感触を、唇に感じる。 少し汗ばんでいる体。 髪から感じる、石鹸の残り香。 甘く、狂おしいほどの肌の温もり。 ――全て、オレのものにしたかった。 オレは唇をゆっくりと首の付け根にまで降ろした。 柔らかい肌に包まれた骨の硬さや、肌を伝う産毛の感触もいとおしい。 脈拍が素肌を伝わって、生き物のようにピクピクとオレの唇に触れてくる。 ゼシカは――両手を胸に当てて、俯いたままで黙っていた。 ゼシカのお腹の辺りで組んだオレの手に、ぽとりとゼシカの涙の雫が落ちて来る。 オレは静かに唇を話した。 そして腕をゼシカの体から離しても、まるで気づいてないかのように ゼシカはそのままで、動かなかった。 「……じゃあな」 オレは一言だけ呟き、ゼシカに背を向け、移動呪文を唱えた。 ◇ ドニの町の入り口に着いたオレは、町の中へと歩みを進めることが出来ずにいた。 町を囲む土壁に背中を押し当て、立ちすくんでいた。 そっと、自分の唇に触れてみる。 さっきまで触れていたゼシカの首筋の感触が、はっきりと残っていた。 ゼシカの面影を全て含んだこの感触は……一生消えない――絶対に消さないさ。 これから……オレはこの感触だけを思い出にして生きていくのかな? もしそうだとしたら――オレの人生ってのは本当につくづく面倒くさい。バカみたいだ。 好きな女に本当の気持ちも言えず、他の女を身代わりにして誤魔化していくんだぜ? ああ、ほんとにオレは大バカだよ。 トロデ王は自分の幸せを自分で見付けろって言ってたけど……これじゃあ逆だ。 オレは結局……自分で自分を不幸にしてる……だけ……だよな。 前へ 戻る 次へ
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発売日 2017年9月29日 ブランド ハイクオソフト タグ 2017年9月ゲーム 2017年ゲーム ハイクオソフト キャスト 上田朱音(吉岡樹里),鈴谷まや(櫓名いろは),かわしまりの(北浜綾),月下夏樹(塩崎檸檬),藤森ゆき奈(吉岡なのは),田中理々(九鬼飛鳥),星鹿りえ(吉岡芳子),まきいづみ(吉岡ルイディアーナ),榛名れん(椎名杳子),坂本十四郎(カービー,コービー),橘万里(吉岡修二),あずま響介(阿部,ゲンさん),越雪光(長老),吉井久蔵(三代目,本馬太郎),夏村伊介(吉岡重太郎),柳井猿彦(スケさん),風見トーリ(カクさん),古河徹人(国松一二三),加々美澪(アナベル,吉岡活) モブキャラ:三谷元一,東島石三,神無月真琴,加々美澪,松風憲 キャスト(泥亀の月) 小次狼(泥マサ(吉岡雅士)),古河徹人(壱吾(藤代壱吾)),道真双六(吉岡隼人),越雪光(工場長),風見トーリ(コマ),松丘侑里(モニカ),仲真こはる(ミンソ),桜糀まい(ソニア) スタッフ 企画:ハイクオソフト キャラクターデザイン・原画:ひーで シナリオ:たとむ,keikei シナリオ補佐:和知まどか SDカットイン:ななみやりん グラフィック:河合克己,にゃんごろ,Aotonbo,水野カワキ 音楽:響那良 オープニングムービー:gram6design キャスティング・収録:Rock n Banana プログラム:合資会社ワムソフト スクリプト:keikei,和知まどか デバッグ:陽,たとむ,keikei 印刷物・ゲームTIPSデザイン:keikei スペシャルサンクス:木谷椎,やーも 製作/著作:HOBIBOX,ハイクオソフト 主題歌 「面影レイルバック」 歌:茶太 作詞:keikei 作編曲:響那良 エンディング 「誓い」 歌:星鹿りえ 作詞:keikei 作編曲:響那良
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